パソコン活用研究5番街（Visual Basic、Excel(VBA)、BASIC プログラミング研究）
DoEvents
１ DoEvents
（１） DoEventsについて
ＶＢ（またはＶＢＡ）で時間のかかる処理をしてCPUを占有すると、Windowsは他のイベントを検出
できなくなります。そのような時DoEventsを使って、Windowsに制御を戻します。
簡単な実験をしてみましょう。図１のような簡単なものです。
図１
「count1 Ｓｔａｒｔ」、「count2 ｓｔｒａｔ」のボタンを押すと、それぞれ1から9999までカウントしながら、表示する
という単純なものです。（ここには、カウントの表示が現れていませんが、カウントスタートすると、それぞれ
のボタンの上にカウントの表示が現れます）
ＶＢのコードも非常に単純です。count1 start、count2 startボタンのコードだけ掲載しておきます。
見れば、わかると思いますが、それぞれのCheckBoxがONであれば、DoEventsを実行するように
なっています。
| ' count1 start ボタン Private Sub Command1_Click() cnt1 = 0 Do Until cnt1 >= 10000 CurrentX = 240: CurrentY = 240 Print Right$("000" + Str(cnt1), 4); cnt1 = cnt1 + 1 If Check1.Value = 1 Then DoEvents Loop End Sub ' count2 start ボタン Private Sub Command2_Click() cnt2 = 0 Do Until cnt2 >= 10000 CurrentX = 2040: CurrentY = 240 Print Right("000" + Str(cnt2), 4); cnt2 = cnt2 + 1 If Check2.Value = 1 Then DoEvents Loop End Sub |
（２） 『実験』
| 実験１ | ＜手順＞ DoEventsのCheckBoxを両方ともOFF 「count1 start」を押す カウントが始まったら、「count2 start」を押す |
＜実行結果＞ count1のカウントがはじまりる count１のカウント中は、count2の方は何の反応も無し。 count1が9999までカウントし、終了すると、count2の カウントがスタート |
| 実験２ | ＜手順＞ DoEvents1のCheckBoxをON 「count1 start」を押す カウントが始まったら、「count2 start」を押す |
＜実行結果＞ count1のカウントが始まる 「count2 start」を押した時点でcount1のカウントが停止し count2のカウントが始まる count2が9999までカウントし終了すると、停止していた count1のカウントが再開する |
実験１でわかるとおり、いったんＶＢ（ＶＢＡ）のプログラムが、時間のかかる処理に入ってしまうと、その
処理が終わるまで、次のイベントの処理（ここではcount2のカウント）は実行されず待たされることになります。
Windows（オペレーティングシステム ＝ＯＳ）は、「count2 start」ボタンのクリックを受け付けていますが、
この情報はキュー（処理待ちのイベントの列）に蓄積された状態で、待機中になります。
count1のカウントが終了すると、ようやくキューで待機していた次のイベント（count2のカウント）がＯＳから
ＶＢ（ＶＢＡ）に渡されて（取り出されて）実行されます。
実験２では、DoEvents1のCheckBoxをONにしました。従って、「count2 start」ボタンが押されると、
DoEventsが実行された時点で、Windows（ＯＳ）にいったん制御が渡されて、次のイベント（count2のカウント）
の処理がＶＢ（ＶＢＡ）に渡されます（ＶＢに取り出される）。その結果、ＶＢ（ＶＢＡ）はcount1のカウントから抜け出し、
count2のカウントに実行を移します。count2のカウントが終了すると、count1のカウントに戻り、
DoEventsの次のコードから実行を再開します。
（３） 補足
他にもいろいろ、いろんなパターンで試してみてください。ＶＢ（ＶＢＡ）プログラムとWindows（ＯＳ）間で
どう制御が移動しているか、理解できると思います。
例えば、DoEvents1のCheckBoxをONにして、「count1 start」を押し、カウントの途中でもう一度、
「count1 start」を押して見てください。
どうなったでしょうか。このように、DoEventsの記述のあるプロシージャでは、処理の
途中あるいは制御が他に移っている間に、もう一度同じプロシージャが呼び出されると、実行結果について
は予測できなくなります。（と、マニュアルにも書いてある）
上記の問題を防ぐには、プロシージャの先頭で
Command1．Enabled = False
と記述して、ボタンのクリック不可に、最後に
Command1.Enabuled = Ｔｒｕｅ
でクリック可に戻すようにするのがいいでしょう。
２ マルチスレッド
ＶＢはVer6.0からマルチスレッドプログラムが可能になりました。
マルチスレッド化すると、上の問題に対してさらに違ったアプローチが可能になります。
ここでは、詳細はとりあげないことにします。